ダイエットとは?
「ダイエット」ときいて一般的に連想するのは、痩せる(=体重を減らす)ことですよね。
しかし「痩せる」と「体重を減らす」は、厳密には”イコール”ではありません。
痩せてスマートな体型になることは、ダイエットの「目的」です。一方、体重を減らすことは、自身の体型を定量的に把握する1つの指標です。
同じ体重でも、ぽっちゃりした体型の方もいれば、痩せて引き締まった体型の方もいますよね。この差がみられる要因は「筋肉」と「体脂肪」の比重差によるもので、同じ大きさ(体積)でも「体脂肪」の方が「筋肉」より軽いため、体重のみでダイエットの成果を判断することができないわけです。
加えて、体重は1日の中でも「食事」や「排泄物」の量によって、±2kgは簡単に変動するので、毎回、計測するときの条件(着ている洋服など)をそろえ、気を遣って管理していかないと、その成果を正しく分析することができません。
特にダイエットを始めたばかりの1〜2週間は、過度な食事制限などで体内の水分量が減り、見かけ上、体重が大きく減少する(見た目も多少スッキリする)ので、一見ダイエットが成功したかのように思えるのですが、その実態は「体脂肪」の減少は、ほんのわずかで、水分や筋肉の減少によるものがほとんどなのです。
➡︎ダイエットの成果を正しく分析するためには、体重だけでなく、脂肪量や筋肉量、体のサイズなど、複数の情報を、総合的に分析しながら、主に「体脂肪率」を指標にして進めていくと良いです。
体脂肪を落とすには?
長い長い年月をかけて、自分のカラダに蓄えてきた「体脂肪」を、健康的かつ効率的に、エネルギーとして消費(代謝)するためには、「脂質代謝」をうながす“肉体づくり”と“食事コントロール”が必要になってきます。
体脂肪は、基本的に「安静時」のエネルギー源として、体内にストックされています。
専門的には、皮下や、腹腔内、血管周囲、骨格筋、乳腺などの脂肪組織に貯蔵され、必要に応じて“リパーゼ”という酵素により、脂肪酸として血液中に放出されます。
放出された脂肪酸は水に溶けないため、血清中の“アルブミン”というタンパク質の力をかりて、必要とされる細胞に運ばれて、細胞内の“ミトコンドリア”に取り込まれ、酸素と結びつくことでエネルギー源となる「ATP(アデノシン三リン酸)」を再合成し、二酸化炭素(CO2)や、水(H2O)として体外へ排出されます。
※割合は、CO2:H2Oで、約7:3くらい
脂質代謝のエネルギー生成は「酸素が必要」なことに加え、「生成スピードが遅い」ことも特徴の1つです。
そのため、短時間に多くのエネルギーを必要とする、高強度なトレーニングをしている場合は、脂質代謝によるエネルギー生成では追いつかず、第2の回路である「糖質代謝」によるエネルギー生成が活発になってきます。
糖質は、グルコースとして“筋肉”や“肝臓”などにストックされており、代謝する時は「酸素が不要」かつ「エネルギー生成スピードが速い」ので、運動時のエネルギー源として非常に優れています。ただし、ストックしておける量に上限があるため、大体30s〜180sほどで空になり、運動を継続することができなくなってしまうというわけです。
➡︎体脂肪を“効率的に”落とすには、激しい運動よりも、安静時の基礎代謝を上げるアプローチの方が合理的。
ちなみに、糖質を使い切った後、さらに運動を継続すると、不足しているエネルギーを補うために、第3の回路「糖新生」が活発になってきます。これは、筋肉などの体組織を構成する”タンパク質”を分解し、”糖質”を再合成しエネルギーを作り出すという現象で、ダイエットやボディメイクを実施している方にとっては、非常に厄介な現象となります。
基礎代謝を上げるには?
普通は、筋トレで筋肉量を増やし基礎代謝を上げる、といった方法が思い浮かぶかと思います。
しかし、安静時の基礎代謝の内訳を見ると、筋肉での代謝は全体の22%で、内臓系が代謝する合計の58%と比べ割合少ないため、筋肉を多少大きくした程度では、ほとんど効果が期待できないとする専門家も多いです。
また、筋トレで大きくなる筋肉は「速筋繊維(白筋)」です。
この速筋繊維は、瞬間的に大きな力を出せるので、スポーツのパフォーマンス向上などには有効ですが、基礎代謝への寄与度は、大きくなった筋肉の”重さ分”しかないので、そういった面からも、ほとんど基礎代謝UPを期待できないわけです。
➡︎体脂肪を燃やしやすい身体を作るのであれば、速筋繊維(白筋)より、脂質代謝のコア機関「ミトコンドリア」が多い「遅筋繊維(赤筋)」を優位に鍛えるトレーニングが圧倒的におすすめです。
遅筋繊維は、トレーニングにより筋肥大しづらく、純粋に代謝効率を上げることができるので、日常の活動量が多く、ダイエットを目的にシェイプアップしたい人(筋肉を大きくしたくない人)は、真っ先に鍛えるべき筋肉繊維だと言えます。
遅筋繊維の鍛え方は?
➡︎遅筋繊維(赤筋)は、筋持久力を鍛えるレジスタンストレーニングにて強化していくことが可能です。
最適な設定負荷は、人それぞれケースバイケースなので、ご自身でやる場合は、できるだけ正確な自己評価を実施し、鍛えたい部位ごとに最適な負荷を設定することをおすすめします。
日常生活における活動量が少ない方は、ウォーキングのような長時間継続できる低負荷な運動を、積極的に生活に組み込んでいく方法(ひとつ前の駅で降りて歩いてみるなど)も、1日の活動代謝を底上げし、より効果的に体脂肪を落とすことができるのでオススメです。
まとめ
・ダイエットは、体重ではなく「体脂肪」を指標とする
・体脂肪を代謝しやすい肉体づくりが重要
・脂質代謝は「スピードが遅く」「酸素が必要」
・激しい運動より、安静時の基礎代謝を上げるのが合理的。
・代謝効率UPには、速筋繊維より、遅筋繊維を鍛える
・ウオーキング等の低強度な運動を生活に組み込むべし。